職場では自分自身の思い込みにより、長い目で見るとつい誤った方向へ進んでしまうことがあります。

今回は、問題解決における問題設定の大切さと【対話】について考えていきます。
組織学習研究家のドナルド・ショーンは、「不確実で不安定で矛盾に満ちた状況では「問題が何か?」という事自体が混とんとしている。その時ビギナーは問題を適切に意味づけることができないから問題が解決しないが、エキスパートは現場の状況を瞬時に把握し、問題を適切に設定することができる。つまり解決すべき問題の即興的な意味づけに秀でているのが問題の解決のエキスパートである。」と論じています。
そのようなエキスパートを、彼は「省察的実践者」と呼んでいます。このような「省察的実践者」は、混とんとした現場に身を置き、次々に起こるトラブルとの格闘を続けていると、思考がその場しのぎになりがちということです。
すなわち、それぞれの局面で適切に問題が設定され解決していったとしても、長期的には間違った方向に舵が切られることがあります。確かに目の前の状況対応に追われていると、知らず知らずのうちに誤った方向に進んでしまうものです。
つまりハイパフォーマーほど「突貫工事のエキスパート」に簡単になってしまうのです。
現場の状況を瞬時に把握し、問題を適切に設定することができるエキスパートだからこそ、「その場限りの突貫工事」を防ぐために、自分自身の行動・考え方・経験を批判的に振り返ることが必要になります。
そのためには他者との【対話】を通して、自分自身の振り返りを行うことが必須なのです。
物事を適切に理解するために、思い込みで誤った方向へ進んでしまわないためにも、【対話】の価値である「他者の視点」を取り入れるようにしましょう。
参考文献 ダイアローグ 対話する組織(P129?133抜粋)