自分自身をコントロール出来るようになる3つの技術
「不機嫌」な状態に気づき、からだを通して心に働きかけることが出来るようになったら、体の状態が上向いてきます。
今回は、ステップⅢ「心を取り戻すわざを身につける」についてお伝えします。
元来、こころをコントロールする技術は特別な人のものだとされてきました。
たとえば仏教では、心をコントロールする技術を習得するために励む人たちが「僧」とよばれたわけです。仏教における修行とは、執着を絶って精神を平らかにする技術を身に着けていく過程です。
そのために当然、機嫌の悪い状態というのは排除される対象となります。
「お金が欲しい!」
「あいつより出世したい!」
「あの子と付き合いたい!」
「美人になってちやほやされたい!」
何かに執着していて、それが手に入っていないときはどうなるのでしょう?イライラしますよね。
だからこそ、気分の変動があった時、すぐ平常心を取り戻す技を身につける必要があるのです。
煩悩から解放されて、自分自身をコントロールできるようになった状態が「悟り」と呼ばれます。
現在、仏教の精神やノウハウは特定の人々のものではなく、より開かれた知識として世界に広がっています。
「マインドフルネス」はその代表選手です。
具体的に心をコントロールする技術とは?
主に「断言力」「想像力」「自分を笑い飛ばす」の3つの力を活用して執着をふっきり自分を肯定します。
「断言力」は、冷静に現状を認識し物事を断定することでけりをつけるやり方です。
「これはこういうことなんだ」と現実をはっきり認めて、関わっている事柄に終結宣言して一つの事実として確定、肯定して次に行く。
自分が不幸に感じられるときに「自分が不幸かどうか」でくよくよ悩むよりは、「自分は不幸だ。じゃどうする?」と一歩先まで進むのです。
置かれている状況を認めることで問題が定まり、次へのスタートが切りやすくなります。
「想像力」を持つことも、現実を吹っ切っていく有力な要素になります。
想像力というのは、現在の状況と違う世界を思い描くことのできる力です。
気分というのは環境や出来事に左右される受動的なもののように思われますが、想像力があればものの捉え方が変わり次第に上機嫌になれるわけです。
「自分を笑い飛ばす力」はもっとも上級な力です。
自分をおおらかに笑い飛ばすことができる人はどんなにつらい局面でも気持ちを切り替え、上機嫌を保つことができます。
注意していただきたいのが、笑い飛ばすことと、自己卑下や自虐は違うということです。
後者には「周囲に認めてもらえないから自分から勝負を降りてやる」といういじけた気持ちが満ちています。
そうではなく、他人も自分も平等に客観し、「今回はたまたまそれが自分に起きた」ということで笑い飛ばせるのが一流の上機嫌です。
出典「不機嫌は罪である 齋藤 孝 P140~144抜粋」