部下に対してダブルバインドしていない?【ダブルバインドとは】

社員教育
町野 文孝

名古屋・岐阜・三重の地域の中小企業の組織作り、社員教育などをトータルにサポートするコンサルタント。30年以上、この活動を行っているが、倒産した会社は0。反対に関わった会社のほぼ100%が業績向上。そのためには、ノウハウも大事であるがそれ以上に、経営者・従業員の心意気が大切だと考える。支援している中小企業の従業員の方との交流も大切にしている。

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中小企業にとって大切なことはたくさんありますが、かなり大きなウエイトを占めるのが、若手・部下の育成です。

ところが、中小企業の場合、教育専門の方がいる訳でもなく、

自らの業務をこなしながら若手・部下の育成をしないといけない

というのが現状です。

これは決して悪いことではありませんが、「なんとなく教育ができてしまう」ということもあり、感覚的に社員教育を進め、その結果、遠回りをしてしまったという事例も多々あります。

そこで、今回はなんとなく社員教育をしているとついつい陥ってしまう「ダブルバインド」という現象について解説します。

「ダブルバインド」を頻繁にしていると、

  • 若手・部下の判断力が鈍る。
  • 社内全体の雰囲気が悪くなり、創造が生まれない。
  • 精神的な問題を抱え、体調不良・離職の原因にもなる場合がある。

という問題が必ず生じてきます

この機会に「ダブルバインド」とは、どういうものかを理解し、今後の社員教育をよりよいものにするヒントにしていただけると幸いです。

 

ダブルバインドとは?【ビジネスでも育児でもありうるもの】

ダブルバインドとは、一言で言えば「二重の拘束」という意味

なんだか「がんじがらめ」の印象が強い言葉ですが、実際ところどういうことか、分かりやすいようにビジネス・育児の場合を例に挙げて解説します。

ビジネスシーンでのダブルバインドとは?

次のようなことは、会社の規模に関わらず良く見られることです。

田中くん
田中くん

いつもなら、目玉商品を提示してお客を集めていましたが、なんだかインパクトが弱い気がします。いつもと少し形を変えてみたいと思うのですが、どうしたらいいでしょうか。

社長
社長

田中くん、そのアイディアを考えるのが、君の仕事でしょ。

硬く考えずに自由な発想で、考えてみたらどうだ?

田中くん
田中くん

社長、暑くなってきましたから、巨大流しそうめん祭を開催しましょう。

ビックリするくらい大きなものを作れば、注目されますよ。

近隣の子ども達や大人もきっとたくさん集まるでしょう。

社長
社長

あのなぁ…うちは、飲食店でも製麺所でもないでしょ。

確かに注目は集まるけれども、その後のことを考えているか?

過去の事例を参考にして考えなさい

すでにお気づきだと思いますが、

  • 自由な発想で考えてみたらいい。
  • 過去の事例を参考にして考えなさい。

完全に矛盾しているために、若手の田中くんは困ってしまい、身動きがとれなくなる状態に陥ってしまいます。

これがダブルバインドです。

これはビジネスのシーンだけではなく、私たちが子どもだった時にも似た様な現象に何度か遭遇したことがある人ほとんどだと思います。

 

育児シーンでのダブルバインドの事例

外で元気よく遊ぶのが好きだった人は、帰宅時刻が随分遅くなり、叱られたことも多いはずです。

そして、

そんなに外で遊びたかったら、ずっと外で遊んでいなさい!

と言われ、本当に外で夜遅くまで遊んでいると、

何時だと思っているの💢 いい加減に帰ってきなさい!

と叱れるのです。これもダブルバインドに該当します。

こうして見ると「ダブルバインド」は、とても身近な現象だということが分かります。

ところが、こう考える人もいるでしょう。

社員
社員

子どもの場合は仕方ないにしても、大人は言葉通りに受け止めるのではなくて、言葉の裏側の意図を汲み取るべきだよ。

確かに、大人であれば言葉の意図も汲み取ることも必要ですが、それができたとしても

ダブルバインドにはメリットがない

と言われます。

なぜ、そう言われるのか、心理的な部分をみていきましょう。

 

なぜ人はダブルバインド(難しい表現)をするのか?

ダブルバインドは、「意図を汲み取らないといけない程、難しい表現」とも言えます。

そこで、

  • なぜ、こんな複雑な表現を子どもでさえもやってしまうのか?
  • なぜ、ダブルバインドにはメリットがないと言われるのか?

について考えておきましょう。

なぜ、人は複雑な表現「ダブルバインド」をしてしまうのか?

先に、ダブルバインドの事例を紹介しましたが、子どもの様子を見ていてもダブルバインドになっていることは多々見受けられます。

子どもに対して、ダブルバインドとなる表現を教えるなんて場面もないのに、見事に子どもは、ダブルバインドを使います。

こうした様子を見ると、

ダブルバインドには本能的に活用したい要素が入っている

と言えるでしょう。

その要素とは…

恐怖で人の行動をコントロールする

というものです。

先に育児シーンの例として取り挙げたダブルバインドが典型的です。

ずっと外で遊んでなさい!(帰ってくるな!)

という恐怖を提示して意図を汲み取らせ、行動に制限を加えるという流れが感じられます。

人は、とにかく生命を守ることを第一に考える動物ですから「メリットよりもデメリットを強く嫌う」という性質をもっているので、この性質を上手に活用しようとした表現がダブルバインドということもできそうです。

つまり、ダブルバインドの背景には「恐怖で人の行動をコントロールする」という深層心理があるというわけです。

 

ダブルバインドにメリットがないと言われる理由とは?

では、なぜ、ダブルバインドにはメリットがないと言われるのでしょう。

答えは、非常にシンプルで、

歴史上、恐怖で人の行動をコントロールして成長した社会はない

からです。

もちろん、一時的に人が言う通りに動き、上手くいったかの様に見えることはありますが、それは極めて短期的であったということは、あなたも十分ご存知のことだと思います。

 

まずはダブルバインドの性質を知ることから

こうして見ると、ダブルバインドは良くないことが分かりますが、私たちは、無意識のうちにダブルバインドをしてしまっていることがあります。

もちろん「恐怖でコントロールしてやろう」なんて微塵も思わない状況であっても、結果としてダブルバインドになってしまっていることもあります。

では、どうずればダブルバインドを防ぐことができるのでしょうか。

  • 自分が当たり前だと思っていることでも、他人は同じように理解しているとは限らないという見方を常にすること。
  • 相手がものごとを理解するには、どうしても時間が必要であるということ。
  • 自分の立場を大切にすることを捨てて、相手のためにできることは何かを常に考えること。

私の場合は、この3点を意識しています。

それでも、ふと気がつくとダブルバインドになってしまっているなぁ…と思うこともありますが、こうした失敗に自分自身が気付くことがとても大切だと思うのです。

 

最後までお読みいただきありがとうございます。

人の学びというのは、誰かに教わることではなく、自分自身で気付くことが最も深い学びだと思っています。

町野 文孝

名古屋・岐阜・三重の地域の中小企業の組織作り、社員教育などをトータルにサポートするコンサルタント。30年以上、この活動を行っているが、倒産した会社は0。反対に関わった会社のほぼ100%が業績向上。そのためには、ノウハウも大事であるがそれ以上に、経営者・従業員の心意気が大切だと考える。支援している中小企業の従業員の方との交流も大切にしている。

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