年度変わりの時期に若手の営業マンの方々と話をすると、「新入社員として初めて出社した日のことも思い出します」などと言われます。
そんな話をしている中で、最も心配だった点が社内の上下関係を含めた人間関係。
実は、硬く考え過ぎていて「お前は硬い」と言われたこともありますが、かと言って、急にフランクに接するのもどうかと思います。
この辺りの距離感は、なかかな難しい気がします。
確かに、フランクに話をすれば距離感が縮まったように感じられ、丁寧に接すると、礼儀正しい印象を与えることができ、悪い印象をもたれることはありません。
どちらの接し方にもメリット・デメリットがあるために、一概にこうした方が良いと決めることはできないのが、難しいところです。
では、この様に社内の上下関係を意識した接し方に悩んでいる場合はどうすればいいのでしょうか。
その答えは、
です。これがどういうことなのか詳しく解説します。
【前提として】人は刻々と変化するからデジタル的に考えない
世の中には、様々なノウハウ・ハウツー的な情報がたくさん出回っています。
これらの情報は時には非常に役立ちますが、あまりにも意識しすぎると、人との接し方もデジタル的になりがちですから注意が必要です。
簡単な例を挙げると、
というものがありますが、おうむ返しがどんな場面でも絶対に有効だとは言えません。
それと同じように、上下関係を意識して誰かと接する場合も万能な型は存在しないという理解をしておくことは非常に重要です。

そんなこと言われたら元も子もないですよ。
確かに、田中くんのいう通りですが、大切にすべき考え方は存在します。
【最重要】社内のコミュニケーションは当人達だけのものではない!
例えば、AさんとBさんが日常生活で必要なコミュニケーションをとっていたとします。
この時に、敬語で話をしていても、フランクに話をしていても、Aさん・Bさんがお互いに気持ちよくコミュニケーションをとることができていれば、何も問題ありません。
ところが、
ということを十分に理解しておく必要があります。
社内のコミュニケーションの具体例から考えてみよう

おいおい田中!
その案はとても面白いと思うけどなあ、現実離れしすぎじゃないか?
それに経費のことももうちょっと考えてくれよな。

社長、そんな経費のことなんて気にしなくても大丈夫だって。
結構、面白い案だから、ちゃんと利益出せるって。
大丈夫!大丈夫!
社員の田中くんと社長は、お互いに学生時代からの知り合いで、いつもフランクに話をしています。
当然、付き合いも長くて、社長も田中くんのことを信頼していますから、この様な接し方をされても社長は不愉快だとは感じません。
つまり、当人同士は何もコミュニケーションに問題を感じていない状態です。
もう一つ、簡単な例を挙げてみましょう。
先日、ある飲食店に入ったところ、次の様な会話が聞こえてきました。

何回同じことを言わせたらいいんだ!
その料理の出し方は違うだろ!
いい加減にしてくれ。

本当に、申し訳ありません。
シェフが上の立場で、ウェイターが下の立場でしょうから、この様な会話がなされる可能性は十分に考えられますが、私は食欲がなくなりました。
つまり、
ということです。
ご夫婦で営んでいる小さなお店でも、お客が入っている時には、お互いに敬語で声を掛け合っているのは、第三者の視点をもたれているためです。
会社には必ず様々な人がいる。
会社には通常、何人かの従業員がいますから、先ほどの社長と田中くんの様なコミュニケーションをしてしまうと、他の従業員は、困惑してしまいます。
また、社長と田中くんとの関係をよく知らない出入りの業者がこの会話を聞いたらどう思うのか?という視点も大切にすべきです。
では、常に上下関係を意識して丁寧な言葉遣いで接するのがいいのでしょうか?
フランクに話をしても良い場を見極めることが大切
先日、ある学生がこんな話をしてくれました。
上下関係で言えば、学生はお客様になるので、上の立場ということになりますが、言葉は非常にフランクです。
また、通学・通勤の時間帯ですからたくさんの第三者の目もありますが、こうした駅員さんの声を聞いて不快に感じる人はいないどころか、なんとなく温かみを感じるものです。
ということは、状況によって、基本的な型を崩すことによって、人間関係が良くなる場合もあるということです。
では、どの様な状況に上下関係を崩してもいいのか整理してみましょう。
- 誰が聞いても気持ち良い内容を伝えるとき。
- 第三者の目がなく、お互いが分かり合えていると確信できるとき。
- 職場・勤務を離れているとき。
などが該当しますが、この様なことを暗記して、今はこうだからフランクにしてもOKなどと考えながら接することは困難です。
できる限り対面でのコミュニケーションを日頃から行おう!
実は、先日会社の組織運営に関する相談をいただいた会社の状況をお聞きすると、
と定められていました。
組織がうまくまわっていないから改善をしていきたいとのことでしたが、問題の要因の一つにメールでの報告制度もあると考えています。
親子のコミュニケーションを見ても、お互いに「なかなか伝わらない」と感じている方が大多数です。
にも関わらず、会社のコミュニケーションの効率化ばかり考えると、歪みが生じるのは当然です。
ですから、
- 可能な限り直接・対面でのコミュニケーションをとる。
- オンラインツールを活用するなら、ビデオ通話を活用する。
- メールなどの文字のコミュニケーションは最小限に抑える努力をする。
ことが大切です。
もちろん、対面のコミュニケーションにすると、若手の方は、心理的なストレスを感じることも増えると思いますが、何度も繰り返していくうちに、必ず上下関係を踏まえたコミュニケーションも上達していきます。
人は何度も繰り返し、経験を積むことでより良い状態を作ることが上手になります。
このことを踏まえておくことが、最も確実で効率的です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
人は言葉以外の部分からも多くの情報を受け取っています。
オンライン化が進むにつれてこんなことをより強く感じる様になりました。