社員教育や組織開発に関わっていると、
と言った話が出てきます。
この様な問題を解決するために考えられる単純な方法は、
- 結果に応じて、給料を高くする。
- 人間関係が円滑になるようなイベント・仕組みを取り入れる。
- 注意の仕方、教育プログラムを工夫する。など…
様々な方法が考えられますが、ここでもう一つ理解しておく必要があるのが、
ということです。
つまり、私たち経営者が、意識してきたことと真逆のことを求める若者もいるということです。
どういうことか詳しく解説します。
平成生まれの若者の退職理由とは?【変化の始まり】

働きがい研究所(https://www.vorkers.com/hatarakigai/vol_14より引用)
働きがい研究所の資料では、平成生まれの若者の退職理由は、「キャリア成長が望めない」が最も多く見られたという結果になりました。
25.5%という結果ですから、どこの中小企業であっても同じ様なことを感じている方が、一人はいるだろうと捉えておきたいものです。
では、この「キャリア成長が望めない」とはどういうことでしょうか。
私自身も、平成生まれの若者に話を聞き、感じたことを紹介します。
時代の変化が激しく将来に不安を感じている
2022年現在、だれもが時代の流れが早いと感じているはずです。
この感覚は、平成生まれの若者も同様で、私が話を伺った若者はこんな話をしていました。
- どんなに優れた会社でも30年先はどうなっているか分からない。
- 今は、良い状態でもこの先を考えると一人でもやっていける技能・知識が必要。
- 何かを身につけるのは、若い頃の方がいい。
よく、「今時の若いものは…」なんていう表現がありますが、しっかりと先を見据えているという印象を受けました。
もちろん、彼らは、若手の中でも優秀な人材です。
この話を聞いた時に彼らからは「離職」という言葉、雰囲気は一切感じませんでしたが、若者の考えだからと言って、何もしなければ、いつか会社は痛い目に遭う可能性が考えられます。
では、彼らのように先を見据えている若者は何を求めているのでしょうか。
最優先事項は「自己成長」であり、厳しさも求めている。
現代では、残念ながら「終身雇用してもらえる」ということを期待するのは困難です。
ですから、優秀な若者は、こんな事も視野に入れています。
- いずれ独立(起業)する。
- 技能・実績を生かして次のステージで活躍する。
こうしたことを実現させるには、当然、自己成長がとても大切になるために、
- 給料がそれなりに良い。
- 休暇がとりやすい。
- 残業が少ない。
- 人間関係も穏やかである。
という好条件の職場であっても、もの足りなさを感じるのです。
もっと厳しい環境であっても自分が学べると感じられるならよいということです。

これまで、労働条件が厳しすぎると散々言われ続け、やっとの想いで改善したら、今度はぬる過ぎて自己成長が感じられないって…。どうすればいいんだ?
楽しく学ぶことができる職場づくりが今後の課題
実は、次の様な若者もいます。
仕事の全体が分かりはじめてくると、楽しくて仕方がありません。もっと働きたいので、土曜日・日曜日も出社させてください。もちろん、私が勝手に出社すると言っているので、残業代などは不要です。
お金の問題・会社のセキュリティーなど様々な問題がありますが、心意気としては、経営者にとって最高に嬉しい言葉だと思います。
なぜ、彼は若くしてこの様な気持ちになったのか、質問してみました。
- 自分の考えた提案がお客様が気に入ってくれたことが嬉しかった。
- 自分だけの喜びだと思っていたけれども、職場のみんなも本当に喜んでくれた。
- 自分の経験が「参考になったわ」と言ってくれた他の部署の人がいた。
ということでした。
私は、彼が提案を考えている時に、試行錯誤を繰り返していたことを知っています。
その最中は、苦しそうに見え、「無理はするな」と声を掛けようと何度か思いましたが、声はかけませんでした。
それは、彼の直属の先輩にあたる者が、
- 自分の過去の失敗を語る。
- 的確な指摘(ダメ出し)をする。
この順序をいつも意識していたためです。
例えば、「勉強をした方が良い」というのは、一つのゆるぎない真実と言っていいでしょう。
だからと言って、多くの人が寸暇を惜しんで勉強をしているとは限りません。
「勉強をした方がいい」と分かっているにも関わらず、できないこともあるのです。
つまり、
ということです。
最近は、様々なところで理路整然とした話がなされることが増えてきましたが、将来のことを考えている若者と仕事をしていくには、
ということです。
先輩や上司が失敗を語るというのは、時には勇気が必要ですが、その経験談は、将来への不安を感じている若者にとって、学びでもあり、楽しみにつながると考えています。
最後までお読みいただきありがとうございます。
多くの学びを若者に提供すると、それこそ離職を応援することになるのではないか? そんな意見をいただくこともありますが、しっかりと若者を育てることができれば、例え、離職したとしても、お互いに良いライバルで居られると思うのです。