会社を経営する以上、成長する企業にしていきたい!と誰もが思うものです。
現在(2020年8月)では、コロナの影響もあるために、この波を乗り越えるにはどうしたらいいのだろう?と悩まれている方も多いと思います。
この波を乗り越えるにしても、成長する企業にするにしても、組織が上手く機能することは必須の条件となります。
ところが、いずれにしても、会社には、得意とする部分と苦手とする部分は必ず存在します。
厳しい状況になればなるほど、苦手な部分をどう克服するか?にフォーカスしがちになりますが、
ということをお伝えします。
そうするには、どうすればいいのか?
結 論
- どうして、これが強みになるのか?
- そして、どの様にして弱みを堂々と見せられる組織にするのか?
名古屋を中心とする地域の様々な中小企業の組織づくり、社員教育に現在も関わっている私の体験をもとに解説します。
【前提】組織の中で最も不経済かつ非効率な活動とは?
まず、前提として、組織の中で最も不経済かつ非効率な活動を知ることはとても大切です。
この様な話をすると、「結局は悪いところを指摘しているだけじゃないのか?」と思われる方もいるかもしれません。
ところが、不経済かつ非効率な活動がダメだ!ってことを伝えたいのではありません。
この活動をまずは抑える事を知って、経済的で効率的な活動をする時間を確保して欲しいのです。
では、不経済かつ非効率な活動とは?
企業とは性質が異なる公共機関は、弱みを見せないことにエネルギーを費やします。
学校を例に挙げると分かりやすいでしょう。
天候が今ひとつ良くないために、運動会を延期しよう…と思っても、この考え方を一方的に貫き通すことは、かなり難しいのです。
- せっかく休みをとったのに…この程度の天気なら大丈夫ではないか?
- さらに天気が崩れて、子どもが風邪でもひいたら大変じゃないか?
どちらの考えも否定することはできませんが、この場合、どちらにするか決定しないといけません。
必ず反対意見が出てきますから、学校は組織を守るために次の様な考え方をするそうです。
公教育のためにこうした策を準備しないといけないことは、あなたも十分分かるとおもいますが、これが中小企業であればどうでしょう。
生産性が全く感じられない業務になってしまいます。
中小企業の場合、弱みを無理に見せないでおこう…とすると、生産性が全く感じられない業務が増えてしまいます。
その結果、
- 自分が仕事をしている意味はあるのだろうか?
- 忙しいばかりで全然結果に繋がらないじゃないか。
- 上手く行かないのは周りが悪いんだ。
この悪循環は、絶対に避けたいところです。
だから、敢えて組織としても一社員としても、私は「弱み」を見せることがとても大切だといつも話をしています。
組織の中で「弱さ」を見せることはかなりの勇気が必要
どんなに優秀な人にも弱みはあるものです。
近年、多忙を極める落合陽一さんも何かのインタビューで「事務処理は全くできないんです。エクセルに数値を入れる様な作業はできません。」
と言われていました。
芸術家でもあり、研究家・事業家…でマルチに見える落合陽一さんにも苦手な事があるのです。
だからと言って、「なんだ偉そうに日本の未来を語っているくせに、エクセルの入力もできないのか?」と感じる人はいないでしょう。
むしろ、この話を聞いて親しみを感じたのではないでしょうか。
弱みを見せたいけれども弱みが見せられない理由
弱みは誰だって、どんな組織にもあると分かっていながら、見せられないのはなぜでしょうか。
それは、
単純な話ですが、できていない所を指摘され続けると、よほど精神的に強い人でない限り、まいってしまいます。
その様な状態になるくらいなら、弱みを見せない努力をした方が、安全だと考えるのが自然なことです。
いいところを見たいけれども見えない理由
また、「人の良い所を見た方がいい」と言われますが、いいところを見ることは、本能的にも苦手な行動です。
例えば、
- 非常に暑い・危険
- 非常に快適な温度・安全
どちらを敏感に感じた方が生命を守れるか?について考えてみるといいでしょう。
もちろん、暑さを敏感に感じないと命の危険を伴います。
だから、基本的に人は不快を敏感に感じとるようにできているために、どうしても「いい所」は見えにくくなる性質をもっていることは知っておく必要があります。
弱みは放っておいても目立つけれども、いい所はなかなか目立たないもの。
つまり、
弱さを見せるにはとても大きなハードルがある
ということです。
では、どうすれば、弱みがお互いに見せ合える組織になるのか、具体的な手順を紹介します。
弱みを見せあえる組織を作るための手順
コーチングの考え方を基盤とします。
Step1 話をフラットな気持ちで聞く
相手の話を良く聴くことからはじめます。
何の価値観の押し付けもなく、フラットな状態で話を聞いてもらった経験がある人は案外少ないものです。
大抵、次の様な話になりがちです。

もし、自由な時間が1週間あれば何がしたい?

ひたすらゴロゴロして泥の様に眠りたいです。

1週間もまとまった自由な時間って人生の中でそうそうないぞ!もう少し、別の使い方をした方が有意義じゃないか?
この場合、社長に悪意はありませんが、自分の価値を社員に伝えながら話をしていることになります。
この様な話の聞き方を一切辞めて、どんな答えが出てきてもそれを認める様な話の聞き方ができれば、かなりの信頼関係を構築できる上に、相手の強みが見えてきます。

泥の様に眠った後に何かしたいことがあるの?

オールナイトで友達と久しぶりに遊んでみたいです。
通常なら、「そりゃ変だろう!」と言いたいところですが、社員の考えもそのまま、受け取り続けていきます。
たったこれだけのことでも、話しやすい同僚・上司という関係を構築することはできます。
反対にあなたが話をしたくない人ってこんな人ではないでしょうか。

1週間も自由な時間があれば、その一部を勉強や仕事に使うのが普通よ。そんな事を言っているから、いつまで経っても結果が出ないのよ。
Step2 才能が伸びる環境を整える
人の成長するスタイルは様々である事を忘れてはいけません。
- 自分で育つタイプ
- 育成プログラムによって育つタイプ
- 追い込まれた状況になると育つタイプ
どのタイプでも結果として成長が感じられるとOKです。
ただ、人によって素晴らし環境は異なるということを具体例を挙げて紹介します。
以前に話をした若者はこんな事を話ていました。
何でも報告したらいいと言われますが、一日の出来事をツラツラと話すことの方が時間の無駄ですから、私は報告は基本的にしません。
自分の決断が難しいところだけ、相談する様にしています。
あとは、上司って頼られている感が好きですから、相談事が最近少ないなぁと思ったら、わざと軽い相談を持ちかける様にしています。
非常によく仕事ができ、結果もどんどん出している若者の言葉です。
彼の場合は、
- アドバイスをどんどんしていく
- 常に状況の報告を求める
↓
- 期待していることを伝える
- アドバイスは求められた時に短くする
この方が適切でしょう。
ところが、当然、この環境だと全く成長が感じられない人も出てきます。
けれども、ついつい、研修で散々大切だと言ったことがなぜできないんだ!と、言ってしまいがちになってしまいます。
この点には、十分注意したいものです。
Step3 自分から弱みを会社や組織の中で見せる
先に、落合陽一さんの弱みの話をしました。
多分、多くの人が親しみを感じたはずです。
もし、お互いに弱みを見せ合うことができる組織を目指すのであれば、経営者や教育者であるあなたから弱みを見せることから始めたいものです。
それは、組織の上に立つものとしてとても勇気がいることですが、実際に挑戦してみると、どんな所に問題があるのか見えてきます。
あなたが弱みを堂々と言える様な環境になってきた時に、組織は次第に変化してくるものです。
ここまでのStep1〜3を実践して来られた会社は、人それぞれに価値観が異なって当然という雰囲気が社内にでき、会議などで議論が活発に行われるものの、相手を思いやる言葉が増えてきたとよく言われます。
まとめに変えて、弱みは魅力に変わる
似た様な話を二つ紹介します。
いつも同じところで店主に注意をされてしまいます。
それでも、上手に蕎麦が打てる様になりたいと自宅で練習を続けました。
蕎麦粉を作る工程に何か上手に打てるヒントがあるのでは?なんて事も考えて見学に行ったこともあります。
そうしていくうちに、やっと人並みの蕎麦が打てる様になってきたのですが、まだまだ自分でも納得のいく蕎麦が打てないのです。
そこで、安藤くんは、畑を借りて蕎麦を育てるところから見直すことも始めたのです。
「蕎麦を育てることと蕎麦を打つ事は別問題だ!」
と店主に言われますが、どうしても蕎麦が育つ様子も理解した上で、安藤くんは蕎麦が打ちたかったのです。
今年で蕎麦を育てるのは何度目でしょうか…。
安藤くんは、ようやく自分でも少し納得のいく蕎麦が打てる様になったのです。
あなたは、佐々木くんの蕎麦と安藤くんの蕎麦とどちらが食べたいでしょうか。
ここに「弱みをみせる」事の大切さが隠されている様に感じます。