会社・組織に上下関係はいらないのでは?【ある程度は必要な理由】

マネジメント(管理)
町野 文孝

名古屋・岐阜・三重の地域の中小企業の組織作り、社員教育などをトータルにサポートするコンサルタント。30年以上、この活動を行っているが、倒産した会社は0。反対に関わった会社のほぼ100%が業績向上。そのためには、ノウハウも大事であるがそれ以上に、経営者・従業員の心意気が大切だと考える。支援している中小企業の従業員の方との交流も大切にしている。

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職場の悩みの元は古くから「人間関係」だと言われています。

また、最近の若い世代の方々は、「学生時代の部活動でもあまり上下関係が厳しくなかった」と言われる方も多いためか、

会社に上下関係がない方が伸び伸びと働けるのではないか?

と感じている人もある程度見られます。

一般的にもパワハラなどの問題が取り上げられることも多くなり、従業員を大切にしようという風潮が強くなってきたのも「上下関係がない方がいい」という要因の一つだと思います。

ただ、会社・組織において、上下関係を綺麗さっぱり撤廃するのがいいのか?と言うと…

会社・組織においてある程度の上下関係は必要

というのが、30年以上、数々の中小企業の人材育成・組織開発に関わってきた私の結論です。

なぜ、時代が大きく変わってもある程度上下関係が必要なのか解説します。

 

組織が大きくなれば人数が増える【多様な考え方にどう対応するか】

当たり前の話ですが、組織が大きくなるということは、人数が増えるということです。

会社の場合、採用の段階である程度の方向性は絞っていても、人数が多くなると様々な考え方があることに気付かされます。

もちろん、様々な考え方があるというのは、悪いことではありません。

大きな組織で様々な考え方があるという具体例

誰もが知っている「部活動」を例に挙げてみましょう。

A高校はサッカー部が非常に強いために、部員が約100名ほどいる大きな組織です。

当然、全員サッカーが好きという共通点はもっていますが、

  • プロレベルのプレイを目指して努力している人
  • とにかくサッカーができることを楽しいと感じている人
  • 有名なサッカー部に所属したけれども、イメージとは違い挫折を感じている人

人数が多くなればなるほど、この温度差が多様になることは明らかです。

もちろん、会社も同様で、さらに会社が成長することを願っている人もいれば、とりあえず収入のために働いているという人もいるわけです。

経営者としては、「とりあえず収入のために…」という発想で仕事をされることは辛いことですが、収入が必要なのは、誰もが同じで、この考え方を否定することはできません。

 

どの考え方が正しいかは分からないことも多いが、一つに絞らなくてはいけない

それでも、会社を運営していくには、ある程度の方向性を定めないといけません。

サッカー部の例で言えば、

  • 全国大会で優勝することを目指す
  • とにかくサッカーの楽しさを存分に味わえるようにする

この違いだけでも、日々の練習の仕方は大きく変わることは明らかです。

この様な時に、部員の声を聞くことは大切ですが、民主主義的に声を聞くと方針が年度ごとにブレる可能性も考えられます。

このブレが何度が行われると、「ここのサッカー部は何を目指しているんだ?」という事になってしまいます。

部活の場合は、それでも構いませんが、会社となるとそうもいきません。

会社の先には、お金を支払ってまで商品・サービスを購入してくださったお客様がいるわけですから、よりお客様が満足するようにするにはどうすれば良いのか?という視点が重要です。

もし、社内に上下関係がなければ、この方向性を定めるのに相当な時間を要してしまう可能性がかなり高くなってしまうのです。

 

組織内で上下関係を撤廃した場合、優れた能力を発揮できるか?

では、会社や組織で上下関係を撤廃して、自由な雰囲気の中で仕事をするとどうなるのでしょう。

結論は、

  • よりクリエティブな人・自己管理がしっかりとできる人は大きく伸びるが、人数は限定的。
  • そのため、会社・組織全体を見れば、能力が落ちる。

ということです。これは副業の様子を見ればよく分かります。

副業でしっかりと成果を出されている方は少数

現在は、国も副業を推進する方向に動き、副業という言葉も随分馴染み深いものになってきました。

副業をする人の目的は様々ですが、基本的には、

  • 自分の得意なことを仕事にする。
  • 個人で小さく始める。

この様なケースが圧倒的に多いのが現状です。

つまり、人間関係・上下関係に縛られない自由な環境での仕事ということになりますが…

副業で10万円以上稼いでいる人は少ない

副業で10万円以上稼いでいる人は少ない(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000046302.htmlより引用)

月に10万円以上稼げている人は、RESONANCEの調査によると全体の10%程度にとどまっています。

副業ですから当然、本業よりも副業に使える時間は短くなるなど、厳しい条件がありますが、

自己管理を徹底して継続することの難しさ

もこの結果から見えてきます。

この様な状況を踏まえると、上下関係を失くして、さらに能力がぐんぐん伸びるという人は存在しますが、全体としてみると、少数だということが分かります。

 

ある程度管理されることで、しっかりと力を発揮できる人が多数

人は、とても複雑なもので、

自由を求めるが、管理された方が能力が発揮できる

という性質を多くの人がもっています。

学生時代を思い出してみましょう。

社長
先生

宿題は自分のためにするものだ。

だから、先生は誰が提出したとか、提出していないとかチェックはしません。

提出はみんなの意思にまかせます。

と言われたら、どうするでしょうか。

きっと、多くの人が「宿題をしない」という選択をするでしょう。

反対に、先生の統率力が強く、毎日宿題の提出がチェックされるのであれば、きちんと宿題をする人が多くなります。

この場合、先生の立場が上なので、「多くの人がきちんと宿題をする」ということが実現できるわけです。

だからと言って、「徹底的に上の立場の人が、管理をしなさい」という話ではありません。管理する部分、しない部分のバランスがとても重要なのは明白です。

 

会社や組織の上の立場の役割は、全体的・長期的に見渡すこと

会社の上下関係に悩まされている方の話を伺うと、「上の立場・偉い人になると、仕事が楽になる」と勘違いされています。

このちょっとした勘違いが原因で、

俺は朝から晩まで現場で必死に働いているのに安月給。偉い奴らは、部屋でいろんな業者とおしゃべりしたり、どこかに出掛けたりしているだけ。そのくせ、たまに現場に来れば、偉そうなことを口先だけで言うから、どうしても腹が立つんだ。

こんな風に理解し、人間関係がこじれてしまうことも多々あります。

真面目に一生懸命な経営者・上の立場の人というのは、

  • 長期的な視点で会社の運営方針を考える。
  • 今後のことを踏まえて、取引先と話を進める。
  • 人材をどの様に育成するのが良いか考える。

などということを、常に行っているのです。

決して、現場の仕事をいい加減に見ている訳ではありません。

そして、会社の将来を考えると、時には、「反対意見が多いだろうなぁ」と思いながらも、舵を切ることも多々あるのが現状です。

こうしたことを踏まえると、特に若手の方からすると邪魔に見える上下関係ですが、上下関係があるからこそ、会社の方針がブレず、成果を上げ続けることができるのです。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

実は、過去に従業員を徹底管理したことがありますが、行き過ぎると全くうまくいかないことは身をもって経験してきました。

ある程度の上下関係は必要ですが、正確には役割分担という認識の方が適切じゃないかなぁと思っています。

 

町野 文孝

名古屋・岐阜・三重の地域の中小企業の組織作り、社員教育などをトータルにサポートするコンサルタント。30年以上、この活動を行っているが、倒産した会社は0。反対に関わった会社のほぼ100%が業績向上。そのためには、ノウハウも大事であるがそれ以上に、経営者・従業員の心意気が大切だと考える。支援している中小企業の従業員の方との交流も大切にしている。

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