中小企業の場合、何か新しいことをしようと思っても、人材が不足しているから難しい。
既にある商品・サービスの認知を高めるために、宣伝をしたいけれども資金の問題がクリアできない。
こうした、経営資源の問題に悩まされている経営者の方は多いのではないでしょうか。
ところが、いくら嘆いても突然、「経営資源が増大する」という事は起きません。
そこで、今日は、
成果がでるように人間関係を配慮する知恵
について考えてみたいと思います。
私は、経営をしている時に次の2点を強く意識しています。
- 今あるこの資源で、何としてでも成果を出すぞ!
- 何とかこの資源を変化・成長させるぞ!
もちろん、この2点については私のみならず、大半の経営者が意識的に取り組んでおられることだろうと思います。
そして、この2点と私が最近読んだ書籍、「マグロ船仕事術」(齋藤 正明著)とは深い関わりがあるので、この書籍からの学びを紹介したいと思います。
なお、この記事の最後の方に齋藤正明さんご自身のスピーチ動画も掲載していますので、参考にしてみてください。
経営者に限らず、誰が観ても驚きやたくさんの発見が得られる動画です。是非、ご覧ください。
「マグロ漁船」から何を学ぶのか?
この参考書籍(マグロ船仕事術 齋藤 正明著)を取り上げたのは、
密接な人間関係が生じる「マグロ漁船という閉鎖空間」で、
いかに人間関係に配慮し、より良い組織にするかに焦点を絞って書かれてある書籍だからです。
私はマグロ漁船を小ぶりな中小企業と一緒だなと思いました。
仕事に関する悩みの調査をすると必ずと言っていいほど、人間関係の悩みがランキングの上位に入ってきます。
(参考…https://life-and-mind.com/distress-ranking-206)
毎日同じ仲間と顔を合わせる。
さらに、その関係性はほぼ固定的ですから、関係がうまく構築できないとそこにストレスを感じ、高い技術をもっていながらも能力が発揮されていない…という様なケースもたくさん見てきました。
きっと大企業であっても、日常的には小さなグループで仕事を行いますから、人間関係に関する条件は、中小企業と大きく変わらないのではないでしょうか。
では、どうすれば人間関係が円滑になるのか?
そのヒントがマグロ漁船にあるのです。
非常に厳しい環境下でもマグロ漁船の乗組員さんは、円滑な人間関係を築いていたそうです。
全てができるから良いのではなく、できないこともあるから面白い!
私たちは、経営の上で重要なポイントとなる人は、
「うっかり八兵衛(水戸黄門)」ですよといいますと大半の方がキョトンとされます。
仕事がよくでき、売り上げに貢献できる人ばかりの組織がいい組織?
意図としては、「浜ちゃん(釣りバカ日誌)」でも「ウソップ(ワンピース)」と同じ様なものです。
経営上、重要なポイントとなる人を育成するとなると、水戸黄門で言う「助さん・格さん」をイメージするのが通常でしょう。
そこで、うっかり者の八兵衛がポイントになると言う話をすると驚かれるのも無理はありません。
もちろん、「助さん・格さん」を育てることも経営の基本的な大切なコンセプトなのですが、あえて「うっかり八兵衛」に注目をして欲しいのです。
うっかり八兵衛とは?
ドラマ「水戸黄門」の登場人物の一人。
様々な事件を解決していくドラマであるが、八兵衛が直接事件の解決に貢献をするという事はほぼない。
ところが、周囲の人々が争いや事件に巻き込まれ被害を被らない様に安全な場所に誘導したり、場の雰囲気が明るくなる様な配慮ができる人物。
私はここに、中小企業での人間関係形成上のヒントがあると思うからです。
あの小さなチーム(水戸黄門一行)で長期間の旅をするのですから人間関係の潤滑油というものが欠かせないと思うからです。
実際のドラマでも「助さん・格さんの仲違い」や「黄門様と助さん・格さんとの行き違い」がよく生じています。
あそこに「八兵衛」がいなかったらその頻度と激しさたるや?と思うのです。
釣りバカ日誌の浜ちゃんとスーさんの関係にしても、お互いに至らない点があるからこそ仲良くやっていけているのだと思います。
また、ワンピースの麦わら海賊団のメンバー全員が、全ての事に対して万能であり、物事が卒なくこなせる人ばかりだとどうでしょうか。
あなたも、この点については是非考えてみてください。
マグロ漁船でのコミュニケーション術とは?
マグロ漁船の生活環境は非常に厳しい事は想像できると思います。
その中で、人間関係が固定され、何十日も同じ船の上で生活をすることになるのです。
ここで、コミュニケーションの根本的な考え方を大きく間違えてしまうと、大変居心地の悪い職場になってしまう事は十分に想像できるでしょう。
通常、企業でのコミュニケーションが用いられるのは
- 状況説明
- 指示・命令
- ミスの指摘
という三つだと思います。
ところが、
マグロ漁船で部下に伝える言葉は次の3つであり、順番までも大切にされているそうです。
- 自信をつけさせる
- 部下の働きを認める、ほめる
- アドバイスをする
そのようなコミュニケーションをとる中で、特に心に残ったのは
「できすぎる船長は尊敬されない」
という点です。
自分ができる船長はおうおうにして、船員に厳しい要求を求め、要求が達成されないと怒鳴ると言う場合が多いそうです。
それでも、船員が「なにくそ!」という精神で頑張ることができればいいのですが、そう事は運ばないそうです。
出来すぎる船長は、時として船員を負かせてしまい、船員を批判する事があり、その結果、船員から慕われないと言う事になってしまうようです。
これは、マグロ漁船に限った話ではありません。
学校の先生にしても、能力が高すぎるあまり、勉強ができない子どもの気持ちが分からない!と言われる場合があります。
また、スポーツチームの監督にしても厳しい指導をするほど、強いチームに育つかと言えば、決してそうではありません。
この事に気づき、今までの 自分のやり方を猛省しました。
中小企業もマグロ漁船と同様に非常に厳しい環境にあるのかもしれません。
「強ストレス体」という認識を持って当たる必要があるのではないかと思うのです。
もちろん、指導すべきこと、注意すべきことはあります。¥
しかし、コミュニケーションは
絶対に押し付けるようなことはしないという前提で行ってほしいと思います。
やはり、チーム運営をうまく行うためには、
部下の働きを認める・ほめる
アドバイスをする
というコミュニケーション方針がとても重要だと思うのです。
こちらに、冒頭で紹介した齋藤正明さんの動画を掲載します。
何度見ても多々考えさせられる事のある動画です。
「あきらめる」この言葉が魅力的に感じられるはずです。