- 営業マンならプレゼン力は絶対に必要だ!
- 営業マンならベネフィットを考えろ!
- 営業はストーリーが命だ!
多少表現は異なっても、耳にタコができるくらい聴かされる内容です。
もちろん、これらの事を学び、プレゼンを構成していくことは大切ですが、学べば学ぶほど基本的なことを忘れてしまいがちになります。
例えば、PCを販売する場面を考えてみましょう。
Aさんの話 |
このPCは、従来のノートパソコンの70%の厚みです。CUPのクロック周波数は4.3GHzですから、かなりスピードです。容量は1.5TB。いろんな情報を保存するのに十分な容量です。軽くて・早い・大容量なので、自信をもってオススメできます。 |
Bさんの話 |
このPCは、軽くて・早く・大容量なので、どこでも素早く仕事にとりかかることができます。通勤中も電車が混んでなければ、サッと取り出し簡単なタスクを終えることも苦でないでしょう。処理速度も非常に早いので、残業時間も減り、家族とゆっくりする時間やしっかりと眠る時間も確保しやすくなるはずです。 |

そんなのBさんの話の方がいいに決まってるでしょ!
こう思った方は、よく勉強をされていますが、要注意です。
これがどういう意味か詳しく解説します。
もちろん、どの様な話をすればいいのか具体的な事例も紹介します。
素晴らしいプレゼンをするために絶対に欠かせないこと!
営業マンなら誰でも「素晴らしい話が聞けました。本当にお話させていただいて良かったです。」と涙ながらに言われることが、最高の喜びのはずです。
その為に欠かせないことがあります。
感動する映画は人それぞれ違うことを肝に命じること
2020年には映画「鬼滅の刃」が大ヒットしました。
多くの人が、「凄く感動した」「この映画は絶対に観た方がいい」などという話をさかんにしていました。
ところが、
ということです。
もちろん、私は映画を批判したいわけではありません。
多くの人にとって素晴らしいものであっても、「感動的な映画かなぁ?」という状態になるということです。
つまり、人によって感激するポイントも異なるために、概ね良い印象を与える型というものがあっても、それは万能ではないということです。
先ほどのPCの説明では、一般的にはBさんの説明が良いとされますが、人によってはAさんの説明で、なるほど…と感じる方もいるという柔軟性をもつことが大切です。
正解のプレゼンというものは、存在しない
例えば、これまでも様々なPCを使ったことがあり、今も自分の使っているPCのスペックが大体言える様な方がプレゼンの相手だとどうでしょうか。

私の今使っているPCって遅い気がするの。
容量もクロック周波数もそこそこ何だけど…。
だから、新しいのを買おうか検討しているの。
この様な方であれば、Aさんの様にスペックを紹介しながら、商品の説明をすれば、かなり実感を伴いながら未来像が描けるはずです。
反対に、
この様な方に、Aさんの様な説明をすると「聞くのも嫌」となってしまうことは明らかです。
当然、この様なことは営業マンなら十分に分かっているはずですが、私の経験を踏まえると、
- 大きな契約が採れそうな雰囲気がする時
- 経営陣もその契約に対してかなり力が入っている時
は要注意です。
力をいれてプレゼン内容を一生懸命に検討することは素晴らしいことですが、力を入れすぎると、相手のニーズを無視してしまいがちになってしまうからです。
もちろん、プレゼンしている側はそんな事に気付いていませんが、第三者の視点から見ると、チグハグな雰囲気になっていると感じることは、意外とあるものです。
売る事ではなく、まず話を聞く事
ここまで、読まれた方なら、どれだけプレゼンの技術、ノウハウを蓄積しても、聴く事が出来なければ意味がないということは十分理解できたと思います。
【営業が辛い】メンタルも身体も萎えてしまった時の乗り越え方でも触れましたが、営業マンが人と会う時に、ついつい「売る事」をイメージしてしてしまいます。
チャンスがあれば売ってやろう!という気持ちがある以上、フラットな状態で話を聴くことはできません。
この後、触れますが人は、一旦「〇〇だ!」と思ってしまうとなかなか他の視点で物事を見るのが困難な生き物です。

http://andornot.blog.shinobi.jp/Entry/154/ より引用
この絵も、「湖と人が描かれた絵」と言う風に一旦観てしまうと、なかなか赤ちゃんが見えて来ないのと同じ様なことが、話を聴く際にも起きてしまうのです。
素晴らしいプレゼンをするための具体的な方法
相手の話を聞くことの重要性は分かったと思いますが、素晴らしいプレゼンをするには、もちろん話を聞くだけでは、絶対にできません。
具体的に何をする必要があるのか紹介します。
最初の1秒で相手の話しの聞き方は概ね決まる!
先に、人は、一旦「〇〇だ!」と思ってしまうとなかなか他の視点で物事を見るのが困難と書きました。
つまり、
- 先にいい印象を与えた人は、いい所を探そうとしながら話を聞いて貰える。
- 先に悪い印象を与えた人は、悪い所を探そうとしながら話を聞かれる。
ということです。
という性質があるために、「挨拶を気持ちよくする」などに時間を割いて、徹底的に練習をすることはとても価値あることと言えます。
相手が問題に感じていることはメモにとる
相手の話を聴くと言っても聞き方は人それぞれです。
ただ、重要なポイントはメモにとることで大きなメリットがあります。
- メモにとるという動作が話をしっかりと聴いて貰っているという印象を与える。
- メモにとることで、相手のニーズが整理される。
- メモをもとにプレゼンをすれば、話はとてもコンパクトになる。
当然、メモを取るという行為はオプションの様なものです。
メモを取ることがメインにならない様に注意しなくてはいけません。
ベネフィットを考えるには、先の先をイメージする練習を!
ここで、仮に次の様なメモがとれたとしましょう。
今回は、先に登場した女性のPCに使い慣れた方の話をもとにします。
- 今のPCはそこそこ性能がいいが遅い気がする
- 容量もCPUの性能も良い
- 現状も悪くはないけど、遅いのがなんとなくストレスに感じる
本当なら、もっと話を聞きたいところですが、私なら次の様な話をします。
今回、私がオススメしているPCは、今お使いのものよりクロック周波数が30%ほど高いために、速度に関するストレスはかなり軽減されるはずです。気持ちよく仕事をしていただいて、1日30分でもご自身のフリーな時間を確保するのにこのPCが貢献できるなら幸いです。一度、試しに使ってみてはどうでしょうか。
PCを売ろうということは一切考えていません。
ただ、
- お客様が悩み感じている点は、どの程度解決できるか説明
- 自分の販売する商品が、お客様の役に立てる可能性がある
ということを、架空の話とは言え、真剣に言葉にしました。
悩みを解決する部分だけではなく、少し想像も膨らませながら、未来の様子が少しイメージできる様な話を入れてみました。
もちろん、この想像が間違った方法だった!という失敗も過去にたくさんしてきましたが、想像が間違った方向だったということは、話の聴き方が不十分であったという理解をしています。
丁寧に話が聴けた場合は、想像もドンピシャでヒットする可能性がかなり高くなります。
プレゼン力を爆発的に高める方法のまとめ
もしかしたら、当たり前のことじゃないか?と感じられた方も多いと思います。
ただ、私が実際に、中小企業の組織開発・人材育成に関わっていると、ノウハウ的なことを多く学べば学ぶほど「相手の話を聞く」という原点を忘れがちになっているなぁという印象を受けます。
やはり、「聴く」ということはとても大切ですが、相手の話を聴くのが当たり前という社風を作ることもとても大切だと感じています。
さらに、ベネフィットをどの様に見つけたらいいのか?という質問を受けることが多いのですが、これも計画的に練習を行えば、どんどん出来る様になります。
実は、この様なトレーニングは非常に大切ですが、すぐに売り上げが伸びる訳ではないので、後回しにされがちな内容です。
ところが、地道に私と一緒に1年間トレーニングをされてきた会社は、この厳しい状況下でも数字は伸びてきています。
そんな様子を拝見すると、人を育てることが会社にとってどれほど価値があることなのか、痛感せずにはいられません。
営業マンが営業を学ぶことは当然ですが、この様なプレゼンの基本的な部分を社員全員で学ばれた会社は社風が大きく変化したことは言うまでもありません。
最後までお読みいただきありがとうございます。