「営業担当者をすぐに変えてくれ!」
「何で納得もしていないのに支払いをしないといけないんだ!」
表現は様々ですが、営業をしているとこの様なクレームには、誰もが遭遇します。
そして、今、2021年7月はコロナ禍の真っ只中。
様々な規制がある腹いせにクレームをブチまけているんじゃないの?と思うことも、あるのではないでしょうか。
もちろん、私自身も若い頃にはクレームに多々悩まされたことがあります。
けれど、今ではそれもとても貴重な経験をさせて貰ったと思っており、現在では、クレームに発展することは0という状態になりました。
先日、私が組織づくりに関わっている会社の若手の営業マンにこんな質問をされました。
そこで今回は、
を紹介します。
ただ、「クレームを対処できたら良い」というだけではなく、この問題を通して、相手の感情を丁寧に見る必要性をあわせて感じていただけたら幸いです。
そもそもクレームはなぜ発生するのか?
「これまで話を進めてきたけれど、一旦白紙にさせて貰うわ。」
こんなことがあれば、会社にとっても、営業マンにとっても大きな痛手となります。
人によっては、これもクレームだと感じる人もいるでしょうし、純粋に考えが変わったのだと受け入れることができる人もいるでしょう。
クレームがなぜ発生するのか?を見ていくにあたり、まずはクレームとは何か?を明確にしておくことはとても大切です。
そもそもクレームとは何か?
クレームとは何か?実は明確に定義することは難しいですが、ここでは次の通りに定めます。
この様に捉えると、いきなり「クレーム」になることは非常に少ないことが分かります。
いきなりクレームを言う人は滅多にいない
商品・サービスを提供して、いきなり「損害賠償請求」になることは、通常は考えられません。
クレーム(損害賠償請求)の話がチラチラ見える前には、必ず予兆があるはずです。
- 相談・意見→注意→クレーム
- 注意→クレーム
のいずれかのパターンです。
滅多にないことですが、いきなり「クレーム」になることが度々あるのであれば、それは明らかに販売の仕方が詐欺的であるか、商品・サービスの質があまりにも低レベルであると考えられます。
とは言っても、クレームになるまでの流れを分かりやすくするために、日常生活でも見られる簡単な具体的事例を紹介します。
苦情・注意〜クレームに発展した分かりやすい事例
「世の中いろいろな方がいる」と言われるものの、日本のほとんどの方は、非常に温厚です。
それでも、クレームがあるのは事実で、ある主婦の方が私に話をしてくださった事例を紹介します。
主婦の方がご家族で食事に行った時のこと…
オーダーした料理が盛られたお皿の周りが、汚れていたそうです。
「申し訳ありません。すぐに交換します。」
そう言って、アルバイトと思われる子がお料理を下げて、しばらくしてまたお料理をもってきました。ところが、お皿は全く同じで、汚れた部分が拭き取られていただけでした。
「ちょっと!どういうこと?お皿拭いただけでしょ。店長を読んできて!」
「こんな対応されて気持ちよく食事ができないから、帰ります。」
いくら温厚なあなたでも、この対応には、腹が立つのではないでしょうか。
実際に、この主婦の方は、上記の様な話をした末に「お料理代金を支払わなくても良い。」と言われて帰宅したそうです。
簡単な事例を紹介しましたが、この様なクレームにならない様にするには、どうすればよかったのかもうお分かりのはずです。
対応策も大切ですが、ここで改めて確認しておきたいことは、
という順になっているということです。
当たり前のことですが、問題点の指摘があった時に丁寧に対応することは大切です。
とは言っても、精神誠意対応したにも関わらず、クレームになってしまうこともあります。
そんな時にどの様に対応すればいいのか、詳しく見ていきましょう。
本当は伝えたいメッセージを心にもっている【クレーム対応の秘訣】
様々なところで、クレームに対応する時に大切にすべき点を伝えていますが、
ということは忘れてはいけません。
注意・苦情を言われる方の性格はいくつかのパターンに分類することができますが、どのタイプの方であっても「いいたいことを言葉の裏にもっている」ということは変わりありません。
感情的にクレームを言うタイプの場合
時には、罵倒するかの様なひどい言葉遣いでクレームを言われるようなタイプです。
その言葉だけを真剣に受け取ってしまうと、もう落ち込むしか道はありません。
ただ、この様な方の場合、「まずは話を徹底して肯定的に聞く」ことで、落ち着きが取り戻されることがほとんどです。
最初は、理不尽だなぁ…と思うことがあっても、「何か他で腹の立つことがあったかもしれない」と思いながら話を聞くことが大切です。
話を聞いているうちにどこに問題があるのかは大抵見えてきます。
よくあるのは、「商品やサービスの利用を前向きに検討したいのですが、費用を削減したい」ということを素直に表現できずに、何らかの理由をつける場合です。
あたかも商品やサービスの内容が悪い様に言われることがありますが、コストを抑える話を切り出すと途端に雰囲気が和むことがあります。
社会的な地位が高い方の場合、「コスト削減」の様な話はしづらいこともある…ということです。
理屈・理論的なクレームを言うタイプの場合
非常に冷静に理屈・理論的にクレームを言う方もいらっしゃいます。
言葉そのものは優しいのですが、理論的なので正直、グサグサと来てしまいます。
この時に大切なのは、「より強い理論を構築しようとしないこと」です。
いくらあなたが、そのジャンルの専門家であったとしても、先方の理論は全て受け入れることです。
その上で、
「もう一度、最初から考え直してみます。ご指摘ありがとうございます。」
ということです。
もちろん、最初から考え直すチャンスが貰えるかどうかは、相手次第ということになりますが、相手は理屈・理論で考える方です。
一生懸命頑張ります・精一杯させてもらいます
〇〇の要素が十分感じられるようにプランをします
の様に、具体的にどう改善するのかを明確にする必要があります。
ただ、どれだけ理屈・理論的な方であってもお互いに人間です。
もう一度チャンスが貰えたらならば、人と人として関係をより深く築く努力をより強くすることで大きなクレームに発展することを抑えることができます。
ヤクザ的なクレームを言うタイプ
残念なことですが、世の中にはクレームを言って楽しむ方や大きく得をしたという方もいます。
例えば、

君のところのシステムを早く使いたいと思っているんだ。
ただ、今回はちょっと急ぎでね…。
2ヶ月後に納品してくれるならお願いしたいのだが。

2ヶ月ですか?
かなり厳しいですが、なんとか頑張ります。
この様な感じで話はスタートするのですが、納品までの2ヶ月の間に次々と追加オーダーが入り、とても2ヶ月では納品できない状態に陥ってしまいます。
そして、

納期が随分遅れたにも関わらず、普通に請求するの?
うちも偉い損害が出たんだよ。
となってしまうケースです。
この様な状態になってしまっては、後の祭りです。
- 無茶な要求は前もって断っておく方がいい。
- 無茶な要求があった場合は、即答せずに社内で十分検討する。
- 日頃から人柄を見極める練習をしておく方がいい。
ということは確かです。
実際には、この様なヤクザ的な方は少ないのですが、関わりを持たないように事前に予防をしておくことは必要です。
まとめに変えて 人のせいにする前に自分を見直す
クレームに発展する前には、特別な場合を除いて必ず予兆があることをお伝えしました。
その予兆が、はっきりと分かる「注意」という場合もあれば、なかなか分かりにくい「ただの相談」という場合もあります。
いずれにしてもこの「予兆部分」で、どれだけ誠意をもって対応できるかによって、後の仕事の進み具合は大きく変化していきます。
何か相談を持ち込まれた時でも、その言葉の背景を上手に察知することができれば、クレームになるどころか、のちの仕事にも結びつくことになります。
最近は、ビジネス全体が西洋的になってきた印象を受けますが、本当は昔ながらの日本の「ちょっとした気配り」の様なものをどれだけ行うかが成果に直結するのです。
できる営業マンとなかなか成果の出ない営業マンの違いはこんなところにもある様な気がします。
こちらの記事も参考になるはずです。

最後までお読みいただきありがとうございます。